時間が狂わない!?電波式腕時計とは

使っている腕時計の時間が狂ってしまって困ることはありませんか。主流のクォーツ腕時計やアナログの機械式腕時計の場合、ときどき時刻にズレが生じてしまうことがあるでしょう。腕時計の時間が狂うことに悩んでいる人には「電波式腕時計」をオススメします。電波式腕時計とは、電波を受信して時間を表示する時計のことです。正確に時刻を刻むことから、とても人気があるタイプの腕時計です。そこで今回は、電波式腕時計の仕組みやメリット・デメリット、そして使用上の注意点などを解説します。

電波式ってなに?

電波式腕時計の「電波式」とは、電波を受信して自動的に時刻とカレンダーを修正するタイプの時計のことを指します。腕時計の中にアンテナが内蔵されており、そのアンテナが送信所から発信される電波を受信して「分」「時」「日」「年」などの時刻情報に変換します。そして、時刻情報が時計内のモーターに伝達して、時刻の変化に合わせて修正するという仕組みです。電波はほぼ24時間にわたって送信所から発信されていて、電波式時計は毎日決められた時間に自動受信するようになっています。電波を受信する頻度は製品によって異なりますが、1日に1〜2回受信するのが一般的です。電波式時計は定期的に電波を受信するため、ほかの時計とは違ってとても正確に時刻を刻むことができます。時刻を合わせる手間がかからないため、メンテナンスがしにくい掛け時計から毎日のように使用する腕時計まで、さまざまな製品に電波式が導入されているのです。

Businessman checking time on his wristwatch. men’s hand with a watch

電波式腕時計のメリット

電波式腕時計の一番のメリットは、時刻表示が正確だということです。機械式時計やクォーツ時計は時間にズレが生じてしまうことがありますが、電波式腕時計ならそのような心配はありません。また、海外でも使えるタイプの電波式腕時計を選ぶと、さらに便利です。電波は国によって周波数が違いますが、海外対応の電波式腕時計なら現地の電波を受信して自動的に現地のタイムゾーン(標準時)を表示してくれます。仮にイギリスに行ったとしてイギリスの標準電波に対応している機種なら、自動的に現地の時刻に合わせることができるのです。そして、イギリスのように夏時間(サマータイム)が導入されている国の標準電波に対応している腕時計なら、きちんと夏時間との切り替えにも対応してくれます。旅行や出張で頻繁に海外へ行くという人は、よく訪れる国の標準電波に対応した電波式腕時計を選ぶといいでしょう。また、電波式腕時計は価格やデザインについても安価なものから高価なものまで、各時計メーカーが豊富なラインナップを取り揃えています。カシオの「ウェブセプター」のシリーズはカジュアルなつけ心地で5,000円前後というリーズナブルな価格で購入できるため人気があります。シチズンの「エクシード」のように10万円前後の商品が充実している商品なら、デザインも洗練されているので、プライベートはもちろんのこと、ビジネスシーンでも大活躍するためオススメです。電波式腕時計は選択肢がたくさんあるので、自分の好みやライフスタイルに合ったものを見つけやすいでしょう。

電波式腕時計のデメリット

正確な時刻を示すのが魅力の電波式腕時計ですが、デメリットは電波の弱い場所では受信しにくくなるということです。日本国内の場合、先島諸島や小笠原諸島などの一部の島は標準電波が届く範囲外とされています。また、ビルや乗り物の中、地下などは電波が遮断されやすくなります。そして、工事現場や交通量が多い場所、家電製品やOA機器の近くも電波障害が起こりやすくなるので注意が必要です。ほかにも、山中や水中、極端に高温・低温といった自然環境の中でも、電波を受信しにくくなります。電波を受信できない状態では、電波式腕時計は通常のクォーツ時計のように使用しなければなりません。その場合、時刻にズレが生じたときは自分自身で調整する必要があります。これらの条件から、住んでいる地域や環境によっては電波式時計の使用が向かないこともあるかもしれません。そして、日本国内の電波だけに対応するタイプの腕時計は海外では電波式腕時計としては使用できないので、その場合もクォーツ時計として使用することになります。

標準電波ってなに?

標準電波とは、国際標準(国家標準)として政府機関などが送信している電波のことです。10万年に1秒しか誤差が発生しないほど精度の高いセシウム原子時計を使って、正確な「標準時」と「周波数」の情報を発信しています。国や地域によって異なる標準電波ですが、日本の場合、情報通信研究機構 (独立行政法人)が標準電波を管理しており、福島と九州の2箇所に標準電波の送信所があります。そして、福島局からは周波数40kHz、九州局からは周波数60kHzの電波が発信されていて、ほぼ全国をカバーしているのです。電波の受信範囲は、目安として送信所から1,000キロメートルの範囲内です。一般的に、東日本は福島局、西日本は九州局の電波を受信しやすいといわれています。そして、両方の電波が届く場所では互いの電波が干渉しあってしまうため、それぞれ異なる周波数の標準電波を発信しています。電波式時計は、この2箇所の送信所のいずれかの標準電波を受信して動いているということです。(※1)

電波式時計を使う時の注意点

電波式腕時計は標準電波が届きにくい場所や環境では、正確に時刻を表示することができません。時計を腕から外して置いておく場合には、家電製品やOA機器の近くといった電波ノイズが発生しやすい場所に置くのは避けましょう。また、ビルの中や地下などの電波の届きにくい場所に行ったあとは、腕時計の時刻にズレが生じている可能性があります。時刻がずれてしまった場合には、窓際などの電波を受信しやすい場所に電波式腕時計を置いてください。その際にコンパスや地図などで方向を確認して、送信所がある方向に電波式腕時計のアンテナ部分を向けると電波を受信しやすくなります。特に、深夜は交通量や電子機器の使用が減って電波ノイズが少なくなるので、標準電波を受信しやすい時間帯です。夜間に電波式腕時計を外したときに、電波を受信しやすい窓際などに置いて調整するといいでしょう。その際に、腕時計の位置が変わってしまうと電波を受信しにくくなるので、最低でも2〜10分程度は時計を動かさないようにしてください。(※2)そして、海外でも電波式腕時計を使いたいという人は海外対応の腕時計を選ぶ必要がありますが、製品によって対応している国や地域が違うので気をつける必要があります。たとえば、EUで使用したいにもかかわらず北米やアジア諸国の標準電波にしか対応していないタイプの腕時計を購入しても、EUで電波式腕時計として使うことはできません。きちんと自分が使用したい国や地域の標準電波を受信するタイプの電波式腕時計を選びましょう。