腕時計のベルトが金属製だと、長さが合わないと感じたときに時計店に行って調整するしかないと考えてしまうかもしれません。しかしメタルベルトは、パーツが一定の仕組みに従ってつなげられているだけなので、パーツに合った工具を使えば長さ調整はさほど難しい作業ではないのです。調整のために必要な工具ややり方について覚えておいて、ベルトサイズに満足できない場合に役立てましょう。
腕時計のメタルベルト長さはどのくらいが最適?
腕時計のベルトの長さを調整しようと考えたら、まずは腕に対してどれくらいのベルトの長さが適正かを知っておかなければなりません。
メタルベルトの長さは腕に巻いた状態で、人さし指が入るぐらいのゆとりを持たせるのがちょうど良いとされています。しかし、ゆとりを持たせるとスペースが開くため、腕時計が回って文字盤の位置がずれることがあります。そんなときは、もっと腕に密着させたほうが良いのでは?と感じますが、あまりきっちり隙間なく巻くと、ベルトと腕の間に汗がたまり、皮膚と時計の両方に負担が掛かってしまいます。余裕があるほうがベルトや時計本体に無理な力が入るのを予防し、汗が時計の中にしみ込むリスクも少なくなります。メタルベルトの腕時計は、多少ゆるめのほうが時計のためだと理解して使い続けると、だんだんとその感覚にも慣れていくでしょう。
腕時計のベルト種類に応じた専門工具
メタルベルトのタイプには、フリー、ピン、板バネ、ネジ、エバータイプといったものがあります。フリータイプはプレートを持ち上げることで、簡単に自分でベルトの長さを調整できる腕時計です。それ以外のタイプは、調整に工具や知識を必要とします。
ピンタイプは、コマ(駒)と呼ばれるパーツを、ピンをさし込んで留めつなげていくことでベルトにしています。ピンが抜ける方向には、バンドに矢印が刻まれていることが多いです。そしてそのピンタイプに適した、腕時計の固定台やピンの穴にさし込む細い棒、小型ハンマーなどがセットになった専用工具が売られています。それを利用して矢印の方向に合わせて工具をさし込み、ピンを抜いてコマを必要な長さ分はずして、残った部分にまたピンをさし込んでつなげれば長さを調整できるのです。
板バネタイプの仕組みはピンタイプに似ていて、コマを留めているのが板状のピンです。専用工具だけでなく、アイスピックや千枚通しを使っても板バネを抜き出すことができます。
ネジタイプは、ピン部分の金具がネジになっています。ですからピンのように押し出すのではなく、ドライバーを使用してはずします。
エバータイプは、ジャバラ状になっているベルトです。ベルトの横にある舌を持ち上げると、ジャバラを留めているコの字型のピンが見えるようになります。これをピンセットなどで引き出してジャバラをはずし、長さを調整するのです。
自分でベルト調整する時のコツはあせらないこと
どのタイプにもいえることですが、コマをつなげている金具を取り出すのには、細かい力作業が必要となります。ピンセットやドライバーのような工具だけでなく、腕時計を固定できるような環境を用意して、ベルトや時計本体に無理な力が掛からないように注意しましょう。
またピンを抜き出すときには、叩く、引っ張るといった作業が不可欠となり、それがうまくいかなかった場合には、つい手に力を込めてしまいがちです。軽い力を保ったまま、あせらずに根気強く作業を行うのが、傷や失敗を防ぐためには大切でしょう。
腕時計の種類によっては、ピンが抜きにくかったり、抜き方に独特のコツが必要だったりするものもあります。自分で試してみて腕時計やベルトに傷を付けそうだと感じたときには、無理をせずに時計店に依頼しましょう。良い意味であきらめも状況によっては大事です。