繊細で精密な腕時計だからこそ、普段の使い方はもちろん掃除方法も気を使いたいものです。体の一部として、あなたと一日を共に過ごす腕時計は、汗や皮脂、ほこり、雑菌などで思いのほか汚れています。目立たないからと、そのままにしておくと、見栄えが悪いだけでなく、サビが発生しやすくなり、ガラスの汚れも凝固してしまいます。大切な時計は、毎日のケアも大人のたしなみのひとつです。愛着を持って、お手入れを習慣化しましょう。日々のこまめなケアと、定期的な本格ケアの大掃除で、お気に入りの時計は長くあなたの相棒となってくれることでしょう。
☆簡単にできる毎日のケア
ケースやガラスは、柔らかいタオルで全体を乾拭きするだけでさっぱりします。細部の汚れは歯ブラシなどを使って汚れを落としましょう。回転式のベゼルの隙間に入り込んだ汚れは、回しているうちに出てきます。出てこないようなら、歯ブラシの出番です。リューズのねじ部分は汚れで黒ずみやすい場所です。ここにゴミが付くと根元まで閉め込めなくなり、そこから水が入ってしまうこともあります。歯ブラシで掃除する場合も乾いたものを使いましょう。ブレスレットはセーム革などで汚れをぬぐいます。
ブレスレットの場合は、コマの間にも汚れがたまるので、週に一度は1コマずつブラッシングしましょう。バックルの内側もほこりや皮脂が付きやすい部位ですので、忘れずお手入れを。細かい作業なので、歯ブラシや爪楊枝を使い分けます。革ベルトの場合は、ブレスよりも湿気や汚れをためやすいので、お手入れはよりこまめにしましょう。汗をかいたと思ったら、そのつど清潔な布で拭き取っておきましょう。内部に湿気が残っていると、雑菌が繁殖して革のダメージや匂いの原因となるので、風通しの良い場所で陰干ししましょう。完全に乾燥するまでは、出番はお休みさせてください。
☆腕時計も大掃除をしましょう
毎日こまめにお手入れしても、使っているうちに汚れは蓄積していくものです。家の掃除と同じで、年に一度は時計も大掃除してみませんか。普段のケアでは落としきれない頑固な汚れも、丁寧な大掃除ですっきり落とせます。
まずガラスのケアは柔らかい布などで軽く拭きます。しつこい皮脂汚れがある場合には、濡れた布を数分パックしてからふき取りしましょう。ベゼルのふちは爪楊枝や歯ブラシでかき出してください。ケースの掃除は乾いた布かセーム革で全体を拭きましょう。細かい部分は同じく歯ブラシや楊枝で。皮脂汚れがこびりついている場合は、綿棒にベンジンを含ませて落とします。ブレスレットも基本的にケースと同様です。ゴールドや合成樹脂などの素材の場合は、ケア方法も異なるのでメーカーへ確認してください。革ベルトは傷みやすい天然素材なので、掃除もやさしく丁寧にしましょう。強くこすると表面を傷めてしまったり、色落ちさせてしまったりする恐れがあります。表面の汚れを落としたら、汚れやすいベルトの穴やバネ棒などにも注目しましょう。バネ棒は革ベルトから取り出して、汚れをふき取ります。
☆一歩進んだ本格ケアのやり方
ここからはちょっと本格的です。まず、ブレス類を外しましょう。『バネ棒外し』という専用工具が必要になりますが、やり方は難しくありません。ただし、作業時にはバネの飛び出しや、ケースへ傷をつけないよう慎重に行いましょう。ゴールド製品は繊細でキズが付きやすいので、着脱はプロに任せた方が安全です。
ブレスはボウルに水を張って、歯ブラシと洗剤で丸洗いしましょう。丸洗いして洗剤を落としたら、ドライヤーなどで完全に乾燥させます。革ベルトは尾錠やバックル、ステッチ部分もお手入れします。上記の作業に加え、縫い目や金具などもケアしましょう。
自分で分解までしてお手入れしていれば、大切な時計により愛情がわいてくるというもの。ですが、時間がなくて面倒、キズをつけてしまわないか不安だという人は、プロに頼むのも一計です。一部のメーカーやショップではブレスの洗浄だけなど依頼することもできます。つけっぱなしで手入れをしたことがないという人は、一度おためしください。すっきりして驚くほどきれいになりますよ。